Yの記憶 -ある身体障害者の話- その②
新学期
地元の小学校に通うことになったY。そして始まるのが新学期の恒例、
先生「最初の体育は"新体力テスト"をします。」
いやだ。明日学校に行きたくない。Yにはどうしても体育をやりたくない理由がありました。
やりたくないですと先生に伝える?やりたくない理由を先生に何て説明すればいい?ちゃんと意図をくみ取ってくれる?
このままだと悲惨な結果が待っている。今ならまだ間に合う。
でも体育を休んだら…
???「なんで?そんなんY君だけズルくね。」
クラスのみんなに知られたら何て言われるか…
当時のYからすると“周りの目”を気にすることは自分を捨ててでも守るべき最優先事項でした。仮にその場しのぎで難を逃れたとしてもYの秘密はいつかバレる。とても言える空気じゃない。結局どっちに転んでも、行き着く先は必ず不幸でした
―――。
位置について、よーい、ドン!
1クラス35人の前で50m走。Y君の記録、
15.00秒↑
ざわざわ…
必死に笑いをこらえるコ。引きつった顔でこっちを見るコ。開いた口が塞がらないコ。みんなが不思議そうにYのことを見ている。
パッと見は普通(健常者)に見えるからこその反応。
自分でも当然だと思った。男子のくせに、女の子はおろか全クラスで一番遅かった。
Yのことを最初に見たクラスメイトには、ふざけてる?本気で走ってないんじゃないかとよく言われました。
新体力テストは50m走をはじめ、
握力・上体起こし・シャトルラン・垂直とび・立ち幅とび etc...
それぞれの種目でその都度悪い意味で注目され続ける屈辱。
クラスメイト
「ッハハw マジかよw」
「先生ー、Y君なんか泣いてるー。」
新学期の体育はよく泣いていました。体育の授業が終わると先生は声をかけてくれた。
先生「大丈夫?”足”いけるか?」
でも気にかけてくれるのはいつも体の心配。先生ちがうんです。体が痛くて泣いているんじゃない。
運動ができないことを周りに知られることが、悔しくて恥ずかしいんです。
???
「痛いんじゃないんかい…」
「そんな理由で?」
周りから理解を得られない可能性を危惧して、死んでも言えませんでした。
体育の授業の”驢懈�”を見られて、みんなとは違う”変なヤツ”ということが知れ渡って、周りから何て思われてる?クラスでまぎれもなく浮いている。いじめられるかもな。
小学校・中学校・高校の12年間、新学期は毎年必ず
「社会的な死」
を遂げてからのスタートでした。
その③に続く
安寧が欲しかった
♪ 7!!「オレンジ」
ワイの雑談日記 No.86
